シスプラチンという抗がん剤の副作用を少しでも減らすために患者さんができること。

現在、抗がん剤の種類はどんどん増えてきていますが、今回はシスプラチンという抗がん剤についてです。厳密に言えばシスプラチン特有の副作用を少しでも少なくするために患者さん自身ができることについてです。

抗がん剤の副作用と言えば脱毛や吐気、下痢、骨髄抑制などを想像すると思います。もちろんこれらの副作用はほとんどの抗がん剤に見られる副作用です。
しかし、どの抗がん剤も全く同じ副作用ばかり出るかと言えばそれは違います。
それぞれの抗がん剤特有の副作用もあるのです。
シスプラチンにも特有の副作用があります。

少々話が逸れますが、シスプラチンの副作用の詳しい話をする前に、シスプラチンという薬の副作用以外の話を少しさせて下さい。
シスプラチンは白金製剤という分類の抗がん剤で決して新しいタイプの抗がん剤ではありませんが、効き目は良いと言われています。ある癌専門薬剤師の方が「本当はすべてのがん患者さんにシスプラチンを使ってあげたいんだ。」と言っていた程です。
なぜこの話を間に挟んだかというと、これから副作用の話ばかりするのでマイナスイメージばかり持たれてしまうかもしれないのでシスプラチンのプラスの面もしっかり知って欲しかったのです。

では話を元に戻して、シスプラチン特有の副作用として腎障害、つまり腎機能が悪くなるという副作用があります。
なぜ腎障害が起こるのかというと、シスプラチンは体の中をめぐり抗がん剤としての役目を終えるとおしっことして体の外に出されるのですが、腎臓から膀胱に移動する際に移動しきらずに腎臓に蓄積してしまうことによって腎障害が起こるのです。
この腎障害という副作用を起こしにくくするために患者さん自身が出来ることは何なのかというと、ズバリ水分をたくさん取ることです。正確には水分をたくさん取っておしっこをたくさん出すことです。
おしっこをたくさん出すことで腎臓に溜まっているシスプラチンを強引に体の外に出すのです。
これを聞いて、なんだそんなことかと思った人もいるかもしれませんが、これは本当に大切なことなのです。
また、水分をたくさん摂取することは腎障害以外にも効果があるのです。
抗がん剤の有名な副作用の1つに下痢がありますが、下痢になると脱水状態になりやすいため水分の補給が必要になります。逆に吐気止めの副作用で便秘になったときも水分をたくさんとることは役に立ちます
便に水分を吸収させることによって便がやわらかくなり出やすくなるのです。

このようにシスプラチンを使っている患者さんにとって水分をたくさんとることは非常に大切ですので、たくさん水分を取ってたくさん尿を出すようにして下さい。