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漏斗胸の手術について (手術を受けた感想をふまえて)

漏斗胸3

体内から取り出したバー

私は漏斗胸の手術を受けました。ですので実際に手術を受けた感想を織り交ぜながら漏斗胸の手術について説明していきます。 漏斗胸を治すには手術しか方法がないということは前回言いましたが、手術するかしないかはどのように決めるかというと、自己判断です。 医者が決めるのではなく、自分が漏斗胸の見た目に耐えられないと思ったら手術すればよいのです。私は軽度の漏斗胸でしたので陥没の深さはそれほどでもなかったのですが、陥没の面積が広く、それこそお腹より上の胸骨が全体的に凹んでいるような感じですごく嫌だったので手術に踏み切りました。 漏斗胸の手術にはちゃんと保険が適応されますので通常3割負担で受けることができます。さらに18歳未満の方は、自立支援医療(育成医療)というものの援助を受けれるそうで大人よりも安く手術できるそうです。

どのような手術かという今一般的に行われている漏斗胸の手術はナス法というものです。私もこの方法で手術しました。
ナス法は胸骨の下にステンレスのバーを通し、そのバーを使って凹んでいる胸骨を持ち上げるという方法です。バーは最低2年は体の中に入れたままにして2~3年後に再び手術で取り出します。
バーは体の大きさに合わせ子どもの場合は1本、大人の場合は2本入れることが多いそうです。
バーはその人その人に合わせた形を特注で作ります。
手術自体は1時間以内で終わりますし、合併症の心配もほとんどない比較的安全な手術です。ただし、バーを通す時に心臓のすぐ近くを通します。心臓付近には太い血管がたくさんありますので血管を傷つけてしまうと出血量が格段に増える恐れもあるので、念のためということで輸血の同意書を書かされたのを覚えています。
しかしそれよりも大変なのは手術を受けてからの数週間です。聞いてはいましたがめちゃくちゃ痛いです。バーで無理やり骨を持ち上げて骨の形を変えているわけですから痛いのは当たり前なのですが、数週間は痛みと戦わなければなりませんし、最初の5日ほどは痛すぎてベッドで寝返りを打つことさえできませんでした。夜は鎮痛剤で痛みを和らげてもらわないと寝れませんでした。(あくまで私の場合はです)
入院期間は2週間程度でした。

肝心の手術後の胸の状態についてですが、傷跡は左右に2箇所ずつ計4箇所あります(バー1本につき傷口2つ)。どれも5cmほどの傷です。私は傷跡がケロイドになってしまい少し目立つ方ですが普通はもっと目立たなくなるそうです。
胸骨の持ち上がり具合については、概ねきっちり持ち上がっているように思います。わたしの場合は凹んでいる面積が広かったため、バー2本使っても全部持ち上げることが出来ず、下の方のお腹付近の胸骨は凹んだままですし、持ち上がった部分も健常人のような自然体な形になったとは言い切れませんでした。
しかし、それでも手術して本当によかったと思っています。完全に綺麗な形にならなくても、傷跡が目立っても陥没していたころに比べるとずっとマシです。 
この記事を読んでくれていて、今現在漏斗胸に悩んでいて手術することを少しでも検討している方への後押しになればいいなと思っています。

 




漏斗胸による問題

漏斗胸がどういった病気なのかは前回説明しました。
では漏斗胸だと何か身体機能に問題が出てくるのでしょうか??
結論から言いますと、漏斗胸だからといって身体機能に問題が出ることはほとんどありません。あまりにも重症で胸の陥没具合がひどく心臓や肺が圧迫されすぎると問題になる場合もありますがそのようなことは非常に稀だそうです。
しかし、漏斗胸の人は大なり小なり陥没していますので、心臓が本来の位置よりも左に押し出されてしまいます。心臓が左に押し出されてしまうとどうなるかというと肺が圧迫されてしまいます。その結果漏斗胸の人は若干肺活量が少なくなる可能性があると言われています。私の場合は喘息持ちで、そのせいで肺活量が少ないため漏斗胸が影響しているかは残念ながらわかりませんでした。(肺活量が少ないといっても激しい運動も普通にこなせる程度です)
あえて問題というならば心臓の位置がずれているせいで心電図の検査で引っかかってしまうことぐらいです。(不完全右脚ブロック)しかし、お医者さんも漏斗胸の人は心電図に異常が出やすいことぐらいわかっているので漏斗胸であることを伝えればいいだけのことです。

漏斗胸で問題なのは身体機能のことよりも見た目による心の問題です。私自身も漏斗胸はかなりのコンプレックスでした。
漏斗胸を実際に見たことがある人はわかると思いますが、胸が陥没しているというのはかなりイビツな見た目です。軽度でほんの少しへこんでいるくらいならちょっと違和感があるくらいかもしれませんが、重度の場合は、ちょっとゾッとするくらい陥没しています。私は漏斗胸に加えて胃下垂なので食後などは、胸がへこんでいてお腹が出ているというおかしなことになっていて本当に嫌でした。

女性の場合は乳房が大きくなるにつれて漏斗胸が目立ちにくくなるケースもあるようです。

漏斗胸を治す方法は手術しかありません。病態から考えても将来的に薬で治すことできるようになったりはしないでしょう。ですので次回は漏斗胸の手術について書いていきます。




漏斗胸(ろうときょう)とは??

漏斗胸ってご存知ですか??
漏斗胸を病気として分類していいものなのかわかりませんが、なぜ今回漏斗胸というマイナーな病気について書くのかというと私自身漏斗胸だからです。漏斗胸について知らない人はここで知ってもらいたいですし、漏斗胸で悩んでいる人もぜひ読んでもらいたいです。
漏斗胸の人は胸の真ん中がへこんで陥没してしまっています。文章だけでイメージしてもらうのは難しいかもしれませんが、鳩胸と真逆の状態です。
漏斗胸の原因は現在のところよくわかっていませんが、胸の軟骨や胸骨・肋骨の成長スピードが違うからだと言われています。ですので小さい頃はそんなにへこんでいなくても成長するにつれてどんどん陥没していくケースが多いようです。
重症度(凹み具合)には個人差がありますが、1000人に1人の割合で漏斗胸の人がいる言われており、女性よりも男性に多いとされています。
さらに漏斗胸の人に多い特徴として、やせ型で胸板が薄いという特徴があります。私はまさにこの特徴にピッタリ当てはまる体型でした。猫背の人も多いというデータもありますが、これは先天的なことというよりも漏斗胸で胸がへこんでしまっていることのコンプレックスから胸を張れないせいで猫背になってしまうという後天的なものだと私は思っています。

・漏斗胸だと身体機能的に何か問題があるのか
・漏斗胸の手術
について別の記事に書きますので漏斗胸で悩んでいる方にはぜひ読んでもらいたいです。