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ピロリ菌についてよく知ろう!!②

今回はピロリ菌の治療、つまりピロリ菌除菌はどのようにするのかを説明していきます。
ピロリ菌の除菌は3つの薬を併用して行います。現在は3つの薬が1つの錠剤になった薬も出ていますが、とにかくなぜ3つを併用するかというと、ピロリ菌は薬剤に対し耐性菌を作るからです。耐性菌を作られてしまうともうその薬は効かなくなってしまいます。
1つの薬だとすぐに耐性菌を作られてしまうので3つの薬を併用して少しでも耐性菌が作られるのを遅らそうというわけです。そして、その間に一気に除菌します。
ピロリ菌は薬に対して耐性菌を作るので3剤を併用して除菌する

具体的には一週間毎日薬を飲み除菌します。一週間薬を飲んだら一度検査してピロリ菌が完全に除菌されたか確かめます。少しでもピロリ菌が残っているとまた繁殖してしまい、さらに薬への耐性を持ってしまうので完全にいなくなることが治療成功の絶対条件です。
もし菌が残っていた場合は二次除菌に移行してもう一週間薬を飲みます。その際、最初に使っていた薬では効かなくなってくるので、3つの薬のうち1つを別の薬に変えて行います。
一次除菌で失敗したら二次除菌を行う

3つの薬とは、PPIという胃酸の分泌を抑える薬1つと抗菌薬を2種類(クラリスロマイシンとアモキシシリン)用います。二次除菌では2つの抗菌薬のうち1つを変えます。(クラリスロマイシン→メトロニダゾール)
PPIで胃酸を抑えるのは胃酸が多く出ているとピロリ菌がウレアーゼを産生してシールドを作るので、そのシールドを少しでも弱めて抗菌薬が効きやすくするためです。
一次除菌:PPI+アモキシシリン+クラリスロマイシン
二次除菌:PPI+アモキシシリン+メトロニダゾール

ちゃんと薬を飲み続けた場合は一次除菌で失敗しても二次除菌でほぼ100%に近い確率でピロリ菌を除菌することが出来ます。
ピロリ菌除菌で大切なことは忘れずに薬を飲み続けることです。途中で薬を飲み忘れてしまうと除菌率が低くなり、さらに耐性菌まで作られるという最悪パターンですのでそれだけは注意しましょう。



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ピロリ菌についてよく知ろう!!①

ピロリ菌とは正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」といい、胃の中に住む菌です。
ピロリ菌は胃や十二指腸の病気の原因になります。
主に慢性胃炎や十二指腸潰瘍といった病気の原因になりますが、ひどい場合には胃がんにまでなります。
ピロリ菌がいるのといないのとでは全然違い、ピロリ菌がいる人は胃がんになる確率がいない人の20倍以上になります。

ピロリ菌は先進国には少なく、発展途上国で感染率が高い傾向にあるのですが、日本では約50%もの人がピロリ菌に感染していると言われています。
中でも高齢者の人に多く、昔の衛生環境が整っていない時代に感染したと考えられています。

ここまで説明するとピロリ菌がすごく恐いものに聞こえてしまったかもしれませんが、ピロリ菌に感染した人がそれが原因で病気を発症する確率は5%程だと言われておりそれほど高い確率ではないようにも感じます。
しかし、胃がん患者さんの8割以上はピロリ菌を保有しているというデータがあるのも事実です。

最初にピロリ菌は胃の中に住んでいると言いましたが、これはとても特殊なことなのです。
胃では食物を消化するために胃酸という強力な酸が分泌されているので、普通の菌は胃の中で生きていくことはできません。
ではなぜピロリ菌は胃の中で生息できるのかというと、ピロリ菌は胃粘膜中の尿素をアンモニアに分解するウレアーゼという酵素を産生することができるからです。
ウレアーゼによって尿素をアンモニアに分解し、そのアンモニアで胃酸を中和することにより自身を胃酸から守っているのです。

これでピロリ菌の生態についての説明は終わります。次回はピロリ菌の治療(除菌)について説明します。