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糖尿病をわかりやすく解説⑤ 治療(3)

糖尿病治療薬の説明も今回で最後です。あと2つ残っているので順番に説明していきます。

●BG薬(ビグアナイド薬)   主な商品名:グリコラン
肝臓では常にブドウ糖が作られています(糖新生)。この糖新生を抑制することにより空腹時の血糖値を下げます。
また、腸でのブドウ糖の吸収を抑えたり、インスリンの感受性を改善させて食後の血糖値の上昇も抑えることが出来ると言われています。
前回説明したSU剤と併用することもしばしばあります。
インスリンの分泌量が増加するわけではないので低血糖のリスクは少ないですが、アルコール摂取などにより乳酸アシドーシスという意識障害の副作用が起こることが希にあります。
ビグアナイド薬:
ブドウ糖が作られるのを抑制⇒空腹時の血糖値を下げる。低血糖が起こりにくい

●SGLT2阻害薬   主な商品名:スーグラ
SGLT2阻害薬は比較的新しい種類のお薬です。
腎臓は不純物のろ過装置で、ろ過されたものが尿として排泄されるというのはイメージしやすいと思います。
水やグルコース(ブドウ糖)のほとんどは、一度腎臓の糸球体でろ過された後に尿細管という場所で血液中へ再び吸収されます。
この時グルコースは尿細管と血管をSGLT2というものを介して再吸収されます。そこでこのSGLT2を選択的に阻害することでグルコースが血液中に再吸収されるのを防ぎ、そのまま尿と一緒に排出させます。そうすことによって血糖値を下げようというわけです。
SGLT2もビグアナイド薬と同じで低血糖を起こすリスクが低いお薬です。血糖値の他に血圧や体重を低下させる効果も期待されます。
SGLT2阻害薬:
腎臓でろ過されたグルコース(ブドウ糖)の再吸収を阻害⇒グルコースを尿と一緒に排泄⇒血糖値低下

これで一通り説明はおしまいです。商品名に関しましては、それぞれひとつずつしか紹介しませんでしたが、同じタイプの薬でもいろいろあります。
糖尿病の治療薬は血糖値の上昇を抑えるものばかりで、根本的に糖尿病を治す薬は残念ながら今はまだありません。
糖尿病は生活習慣病です。なので、日頃から生活習慣に気をつけるように心がけてください。

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糖尿病をわかりやすく解説④治療(2)

さっそく前回の糖尿病治療薬の続きから始めていきます。

●チアゾリジン系薬(インスリン抵抗性改善薬)  主な商品名:アクトス
インスリンが出ているにも関わらずインスリンの効きが悪く血糖値が下がらないというインスリン抵抗性のタイプがあることはすでにお話しました。
これは糖を代謝する組織でのインスリンに対する反応性が低くなっているために起こります。(感受性の低下)
原因は肥満だといわれています。
このインスリンの反応性の低下を改善するのがチアゾリジン薬なのですが、肝臓に悪影響を与え、副作用が強いのであまり使われていないようです。
チアゾリジン薬:
インスリンの抵抗性を改善する⇒組織でのインスリンの感受性が高まる⇒正常にインスリンが働き血糖値が下がる。

●DPP-4阻害薬  主な商品名:ネシーナ
インスリンの作用を強めつつ副作用の低血糖が起こりにくくするためにつくられたのがDPP-4阻害薬です。
インスリン分泌に大きく関わっているインクレチン(高血糖値時に血糖値を低下させる消化ホルモンの総称)というホルモンがあります。
インクレチンは食事をした時のみ分泌され、インスリンの分泌を促す働きがあります。食事をした時にしかインクレチンは分泌されないので低血糖が起こるリスクが軽減されるというわけです。
このインクレチンを分解する酵素がDPP-4というのですが、DPP-4を阻害することによってインクレチンが減りにくくして、間接的にインスリンの分泌を促進し血糖値を下げようというのがDPP-4阻害薬の狙いです。
DPP-4阻害薬:
インクレチンを分解するDPP-4を阻害⇒インクレチンが多くなりインスリン分泌を促進⇒血糖値が下がる。

●速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)  主な商品名:グルファスト
この薬は名前の通り飲んですぐにインスリンが分泌される薬です。
インスリンの分泌低下(2型)している場合では、食後の血糖値の上昇とインスリン分泌のタイミングが合わない場合があるのでその時に使います。
作用はSU剤よりも弱いです。

今回はここまでにして残りの2種類は次回に持ち越します。すいません。
次回(糖尿病治療3)で糖尿病シリーズは終わりですのでどうか最後までお付き合い下さい。

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糖尿病をわかりやすく解説② 糖尿病の種類と原因

前回はインスリンと血糖値の話をしましたので、今回は本格的に糖尿病の種類と原因についてお話します。
糖尿病の種類ですが、1型糖尿病2型糖尿病の2つに分けられます。

1型糖尿病から順に説明します。
1型糖尿病は比較的若い人でやせ型の人が多いです。
前回も説明しましたが、インスリンとは血糖値を下げることが出来る唯一のホルモンで、すい臓のランゲルハンス島から分泌されます。さらに詳しいことを言えばランゲルハンス島のβ細胞という細胞から分泌されます。
このβ細胞が破壊されインスリンが分泌されず、血糖値を下げることが出来ない状態を1型糖尿病といいます。
1型糖尿病の患者さんはインスリン注射が必ず必要です。
β細胞が破壊される原因は多くの場合、自己免疫により破壊されてしまいます。
免疫とは通常、体外から侵入してきた異物を攻撃し除去するものなのですが、免疫システムが上手く働かず、自分の細胞を攻撃してしまうのです。
1型糖尿病インスリン依存型糖尿病IDDMと呼ばれたりもします。

1型糖尿病: 自己免疫などの原因によりβ細胞破壊 ⇒ インスリン分泌出来ない ⇒ 血糖値を下げれない

続いて2型糖尿病につて説明します。
1型糖尿病がインスリン依存型糖尿病と呼ばれているのに対して、2型糖尿病インスリン依存型糖尿病NIDDMと呼ばれたりします。
生活習慣病が原因で起こるのが2型糖尿病です。
中高年以上で肥満型の人に多い傾向にあります。
1型糖尿病はインスリンが全く出ない状態なのに対し、2型糖尿病はインスリン分泌はされてはいるが量が少ないというインスリン分泌低下パターンと、普通に分泌されているのにインスリンが正常に働かないというインスリン抵抗性パターンがあります。
2型糖尿病の場合は上記の2パターンどちらの場合も経口糖尿病薬(錠剤の薬)で血糖値を下げることが出来ます。
日本人の糖尿病患の約95%が2型糖尿病です。

2型糖尿病:
インスリン分泌低下型・・・インスリンの分泌量が少なく血糖値が下がりにくい。
インスリン抵抗型・・・インスリンが分泌されているのに上手く機能せず血糖値が下がらない

どうでしょうか??糖尿病の種類について少しはわかって頂けたでしょうか??
日本人は2型糖尿病の方が圧倒的に多いので、糖尿病の予防には生活習慣を見直すことが一番だと思います。
次回は糖尿病の薬についてお話します。

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糖尿病をわかりやすく解説① インスリンって何??

糖尿病とはインスリンの不足によって血糖値が高くなる病気です。
診断基準は少し難しい話になるのでここでは話しませんが、糖尿病の簡単な定義としましては、インスリン作用の不足による慢性的な高血糖を主徴とする種々の代謝疾患 といった感じです。

まずはインスリンと血糖値の増減の話からしたいと思います。
そもそも血糖値とは、血液中の糖の量のことを指します。決して体の中全体の糖量のことではありません。
そして、
インスリンというのは血糖値を下げることが出来る唯一のホルモンです。
血液中にブドウ糖(グルコース)が多くなるとすい臓のランゲルハンス島というところからインスリンが分泌されます。インスリンが分泌されると、肝臓や筋肉でブドウ糖(グルコース)がグリコーゲンという物質に変換されて、肝臓や筋肉の細胞内に蓄えられます。
こうすることによって血液中のブドウ糖が減り、血糖値が下がるというわけです。

血糖値(血液中のブドウ糖量)上昇↑ ⇒ インスリン分泌 ⇒ ブドウ糖がグリコーゲンに変換 ⇒ 血糖値低下

ここで1つおまけとしまして、、、逆に血糖値が下がりすぎてしまうとどうなるのかというと、血糖値が低くなりすぎるとグルカゴンという物質が分泌されます。
グルカゴンは肝臓に溜め込まれているグリコーゲンをブドウ糖に変換し、血液中に放出する働きがあり、これにより血糖値を上昇させることが出来ます。

血糖値低下 ⇒ グルカゴン分泌 ⇒ グリコーゲンをブドウ糖に変換 ⇒ 血糖値上昇

今回は糖尿病の基本となるインスリンと血糖値の仕組みについて説明しました。
次回は本格的に糖尿病について説明していきます。糖尿病をわかりやすく解説②種類と原因

 

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