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糖尿病をわかりやすく解説④治療(2)

さっそく前回の糖尿病治療薬の続きから始めていきます。

●チアゾリジン系薬(インスリン抵抗性改善薬)  主な商品名:アクトス
インスリンが出ているにも関わらずインスリンの効きが悪く血糖値が下がらないというインスリン抵抗性のタイプがあることはすでにお話しました。
これは糖を代謝する組織でのインスリンに対する反応性が低くなっているために起こります。(感受性の低下)
原因は肥満だといわれています。
このインスリンの反応性の低下を改善するのがチアゾリジン薬なのですが、肝臓に悪影響を与え、副作用が強いのであまり使われていないようです。
チアゾリジン薬:
インスリンの抵抗性を改善する⇒組織でのインスリンの感受性が高まる⇒正常にインスリンが働き血糖値が下がる。

●DPP-4阻害薬  主な商品名:ネシーナ
インスリンの作用を強めつつ副作用の低血糖が起こりにくくするためにつくられたのがDPP-4阻害薬です。
インスリン分泌に大きく関わっているインクレチン(高血糖値時に血糖値を低下させる消化ホルモンの総称)というホルモンがあります。
インクレチンは食事をした時のみ分泌され、インスリンの分泌を促す働きがあります。食事をした時にしかインクレチンは分泌されないので低血糖が起こるリスクが軽減されるというわけです。
このインクレチンを分解する酵素がDPP-4というのですが、DPP-4を阻害することによってインクレチンが減りにくくして、間接的にインスリンの分泌を促進し血糖値を下げようというのがDPP-4阻害薬の狙いです。
DPP-4阻害薬:
インクレチンを分解するDPP-4を阻害⇒インクレチンが多くなりインスリン分泌を促進⇒血糖値が下がる。

●速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)  主な商品名:グルファスト
この薬は名前の通り飲んですぐにインスリンが分泌される薬です。
インスリンの分泌低下(2型)している場合では、食後の血糖値の上昇とインスリン分泌のタイミングが合わない場合があるのでその時に使います。
作用はSU剤よりも弱いです。

今回はここまでにして残りの2種類は次回に持ち越します。すいません。
次回(糖尿病治療3)で糖尿病シリーズは終わりですのでどうか最後までお付き合い下さい。

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糖尿病をわかりやすく解説③治療(1)

糖尿病がどのような病気なのかは説明したので今回は薬物療法を中心に治療について解説します。
糖尿病の治療には食事療法運動療法薬物療法があります。まず食事療法と運動療法について少しだけ説明してから薬物療法の解説をしていこうと思います。

食事療法では主にカロリー制限を行います。具体的には1日の摂取カロリーを1600kal以内とします。しかし糖尿病の人は肥満気味の人が多く、食事療法をしっかりと続けることは精神的にもなかなか難しいのが現実です。
食事療法:1日1600kal以内に制限する。

運動療法についてはあまり説明することがなく、とにかく運動しなさいということなんですが、激しい運動を短時間するよりも負荷の少ないウォーキングなどを時間をかけて行う方が望ましいです。
そしてこれは食事療法にも言えることなのですが「継続すること」が何より大切です。
単発的に行ってもほとんど効果はありません。
運動療法:負荷の少ない運動を継続的に行う。

ここからは薬物療法について解説していきます。
糖尿病の薬はたくさん種類があるのでひとつずつできるだけ簡単に解説したいと思います。

●α-グルコシダーゼ阻害薬   主な商品名:ベイスン
α-グルコシダーゼ阻害薬は食前に飲む薬で、食べた物の消化や吸収の速度が遅くなり、血糖値が一気に上昇するのを防ぎます。
食物の消化・吸収を助けるα-グルコシダーゼという酵素があり、この酵素の働きを阻害して消化・吸収スピードを遅くするのがα-グルコシダーゼ阻害薬です。
このタイプの薬は食後の血糖値が急激に上昇するのを防ぐというものなので、血糖値の上昇を完全に防ぐ効果はありません。食物がゆっくり吸収され血糖値もゆっくり少し上昇します。
この薬の良い所は副作用が少ないという点です。
α-グルコシダーゼ阻害薬:
α-グルコシダーゼ阻害⇒食物の消化吸収がゆっくりになる⇒血糖値の急激な上昇抑制

●SU剤(スルホニル尿素薬)  主な商品名:アマリール
インスリンを分泌するすい臓を刺激してインスリンの分泌量を上げることにより血糖値を下げようという薬です。
ただしこれはすい臓にインスリンを分泌する力が残っている人にしか効果がありません。(すい臓にインスリンを分泌する力がない人にでも効果があるという説もある)
副作用としてはインスリンが出すぎて低血糖になったり、お腹が空くといったものがあります。なんだか本末転倒といった感じの副作用ですね。
SU剤は主に運動や食事制限が出来ている痩せ型の人に使う薬です。
SU剤:すい臓刺激⇒インスリン分泌量増加⇒血糖値低下

続きは次回の記事で説明します。
まだあと5種類もの糖尿病治療薬があるので、もしかすると次の記事でも説明しきれず、3つの記事にまたがってしまうかもしれませんがご容赦下さい。糖尿病治療薬続き(2)

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痛風の検査と治療

前回は痛風の予防についてお話したのですが、頑張って予防に努めたら絶対に痛風にならないというわけではありません。その人の体質など遺伝的要因により痛風になってしまう可能性があります。ですので今回は痛風の検査と治療について書いていきます。

検査
痛風の検査は通常複数の検査を行い診断します。
まず、血液検査を行い尿酸値を測定します。尿酸の正常値は約7.0mg/dLで7.0以上を高尿酸血症とします。
血液検査の結果高尿酸血症と診断された場合、次に尿検査を行います。尿検査にはどのような意味があるのかというと、尿検査によって痛風のタイプを知ることができます。詳しくはまた後で説明しますが痛風には2つのタイプがあり、どちらのタイプの痛風なのか知ることは治療するにあたってとても重要になってきます。
この他にレントゲン検査や関節液の採取をすることもあります。これは体のどの部分で結晶ができ炎症が起こっているのか調べるために行います。

血液検査・・・尿酸値の測定
     ↓
     ↓高尿酸血症と診断された場合
     ↓
尿検査・・・痛風のタイプの診断

レントゲン、関節液の採取・・・炎症が起こっている部位の特定

治療
先程検査のところで出てきた痛風のタイプですが、「尿酸排泄低下型」「尿酸過剰生産型」の2つのタイプにに大別されます。
2つとも名前の通り、尿酸排泄低下型は尿酸を上手く体外へ排泄することが出来ず、そのせいで尿酸値が上がってしまうタイプで、尿酸過剰生産型は排泄機構に問題はないが、尿酸が過剰に作られすぎるため排泄が追いつかなくなり尿酸値が上がってしまうタイプです。
通常処方されるお薬はこの2つのタイプのどちらなのかによって違ってきます。
尿酸排泄低下型の人にはプロベネシドやベンズブロマロン(どちらも一般名)といった薬が出されます。これらは腎臓の尿細管という場所から尿酸が血液中に再吸収されるのを防ぐことによって尿酸の排泄を促進する薬です。
この際、尿細管による尿路結石を予防する目的でクエン酸カリウムなどを併用したりします。
尿酸過剰産生型の人にはアロプリノールやフェブキソスタット(どちらも一般名)といった尿酸の産生を抑える薬が出されます(薬の作用機序は難しいため省略します)。
また、これらの種類の薬以外にも痛風発作を予防する薬や、がん化学療法に伴う高尿酸血症時に用いられる尿酸分解酵素薬などがあります。

その他、薬ではなくサプリメントでも尿酸・プリン体対策ができるものがあります。